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バトシーラー日記

あまり知られていない様々な真実の知識をお届けします


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フィリピンと中国の友好に見る、日米謀略の破綻


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世界中で人民斗争が発展し、アメリカが力を低下させるなか、オバマ政府がすすめてきた「アジア・太平洋重視」戦略の破たんがあらわとなっている。同戦略のもとで「尖閣諸島」や南中国海での領有権問題で「中国の脅威」をあおり、戦争準備、軍事挑発をくりかえし、“米軍が日本からでていったら沖縄は中国にとられてしまう”といったデマ宣伝もながされてきた。ところがフィリピンのドゥテルテ政府が、米比合同演習の中止、米軍の撤退など「アメリカと決別」する方針をうちだし、中国政府とのあいだで経済関係の関係拡大、南中国海の領有権の話し合い解決で合意したことで、米日などのデマ宣伝があばかれている。

戦争挑発者・米国と決別
 この間、大きな反響をよんだのは、フィリピンのドゥテルテ政府によるアメリカにたいする態度と、南中国海の領有権問題での対応であった。ドゥテルテは五月の大統領選挙で親米の前アキノ政府の後継候補を大差でやぶり、六月に大統領に就任した。ドゥテルテは、前アキノ政府の親米反中、領有権問題での対決路線からの転換をはかった。
 前アキノ政府(二〇一〇年六月~二〇一六年六月)はフィリピン人民の斗争によって追いだされた米軍の再駐留に犬馬の労をとり、そのうえで南中国海のスカボロー礁(中国名・黄岩礁)の領有権をめぐって強硬な対応をとってきた。
 前アキノ政府は二〇一二年、同年に米オバマ政府から供与されたばかりのフリゲート艦を使い、中国の漁船によるスカボロー礁海域での操業を阻止するという軍事挑発をやった。これ以降、中国側はスカボロー礁海域でのフィリピン漁船の操業を妨害し、実質的な支配下においた。
 オバマ政府や前アキノ政府は、この問題で「中国の脅威」をあおりたて、米軍の再駐留の必要を大宣伝した。前アキノ政府は二〇一三年に領有権問題をめぐりハーグの仲裁裁判所に提訴した。
 スカボロー礁は、フィリピンのルソン島スービック港から約二〇〇㌔のところにある。スービック港はこの地域で最大の米海軍基地があったところだが、「中国の脅威」宣伝のもとで米艦艇が同港への寄港をくりかえした。
 前アキノ政府はオバマ政府のもとめに応じ、二〇一四年に米比防衛力強化協定をむすび、米軍再駐留に道をひらいた。今年三月にはフィリピン国内の五つの基地の米軍使用をみとめ、米比両軍による南中国海での共同哨戒活動を開始し、中国との軍事対決路線をエスカレートさせていった。前アキノ政府は「米軍の存在によって中国の強引な行動を阻止できる」(比国防相)などといっていた。

フィリピン人民の反米斗争が背景に
 フィリピン人民はこうした前アキノ政府を批判し、「米軍はでていけ!」とさけび米比防衛力強化協定の破棄などを訴え、斗争をくりひろげてきた。またフィリピンの漁民はスカボロー礁をめぐって「もしアメリカが攻撃すれば中国はかならずやりかえす。犠牲になるのはフィリピン漁民だ」と平和的解決を強くのぞんできた。ドゥテルテが大統領選挙で圧勝し、前アキノ政府の親米反中、領有権問題での対決路線からの転換は、こうした人民斗争を土台にしたものであった。
 一〇月下旬、フィリピン財界人四〇〇人をひきつれて訪中したドゥテルテは、中国主席・習近平との首脳会談で領有権問題の平和的解決、両国関係の拡大をうたった共同声明をだした。声明は、領有権問題は中比関係のすべてではなく、当事国同士の友好的な交渉で平和と安定を維持することが重要であるとし、両国間の投資や貿易を促進し経済関係を強化することをうたい、中国側からは九〇億㌦の融資、鉄道や道路、港湾などの整備への参加がだされたことをあきらかにしている。
 訪中のなかでドゥテルテは「アメリカと決別する」とあらためて宣言し、仲裁裁判所の判決(領有権をめぐる中国の主張を否定)をふりかざせば「最終的に戦争になる」とのべ、「国際社会は紛争をなくさなくてはならない。話し合いは平和的でなければならない」と訴え、アメリカなどの介入を排し「フィリピンの問題は自分たちで解決しなければならない」ことを強調した。
 ドゥテルテの訪中にあたってフィリピン漁民から、スカボロー礁での漁業再開の要望がだされていた。ドゥテルテは漁業再開について中国当局と協議したことをあきらかにし、「数日まてば(フィリピン漁民が)もどれるかもしれない」といっていた。
 ドゥテルテの帰国後まもなく、スカボロー礁での中国側の妨害はなくなり、フィリピン漁民の操業が二年ぶりに再開された。フィリピン漁民は「危機はおわった」と歓迎している。
 フィリピンの革命勢力は、アメリカと決別し、領有権問題の平和解決、南中国海の非軍事化をめざすドゥテルテ政府の方針を支持している。また対中関係改善の方針について、中国が資本主義大国化の方向をすすめ自国の利益を追求し、現在の過剰生産のなかで資本の投下先をもとめていることを見すえながらも、歴史的なアメリカ帝国主義のフィリピン支配を一掃し、フィリピンの経済発展に利用できることを指摘している。そしてドゥテルテ政府の諸施策の成否は、アメリカ帝国主義の支配からの独立をめざして前進をつづけるフィリピン人民のたたかいと愛国同盟をきずくことにかかっていることを強調している。

中比友好を喜ばす緊張激化をあおる米日
 フィリピンのドゥテルテ政府の対応をフィリピン人民は支持したが、オバマ政府や安倍政府は危機感をつのらせた。安倍政府は「中国の思うつぼ」(外務省幹部)といい、日本のマスコミは「米の関与が縮小すれば、結果的に中国によるスカボロー礁の実効支配強化や軍事拠点化が進む恐れがある」(「読売」)「日米比の協力関係が揺らぐことは望ましくない」(「毎日」)などの論陣をはった。
 だがドゥテルテ訪中から一カ月あまり、これをきっかけにフィリピンをはじめとするASEAN東南アジア諸国連合)と中国との領有権問題は平和解決で大きく進展し、中国を増長させるかのようにえがいてきた米日の宣伝のうそがあらわとなった。
 ペルーでひらかれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合のなかでの中比首脳会談では関係改善、領有権問題の話し合い解決をあらためて確認した。中国・ベトナム首脳会談のなかでも中国側は、意見の違いを棚上げし、南中国海の平和と安定を維持し、共同開発にむけた協力をあらためて表明している。
 ドゥテルテは訪中にさきだって九月、ベトナムを訪問し、南中国海の領有権問題で共同歩調をとることを確認している。中国とASEAN諸国はすでに九月の首脳会議で海軍艦船の不測の衝突をふせぐための「規範」の導入で合意している。一〇月にはいると南中国海での緊張緩和を促進していくため中国とASEAN諸国との合同軍事演習を来年実施することもあきらかとなっている。
 南中国海の領有権問題をめぐって中国とASEAN諸国とのあいだで平和解決にむかって大きく動きだしたのは、これまでアメリカの手先となってきた前アキノ政府の政策をドゥテルテ政府が転換し、アメリカを排除する方向を鮮明にしたことである。
 中国とASEAN諸国のあいだでは歴史的に領有権問題があった。だが中国とASEAN諸国との経済関係が拡大するなかで、領有権問題について平和的な解決をめざす「行動規範」(二〇〇二年)をきめ、はなしあいをすすめてきた。このなかにわってはいり、南中国海での領有権問題をあおり、軍事的な介入を拡大し、緊張をあおってきたのはアメリカのオバマ政府であり、日本やオーストラリアの政府はその手先となってきた。

アメリカのアジア戦略が戦争の元凶
 オバマ政府はその発足当初(二〇〇九年)から、中国にほこ先をむけたアジア戦略を推進してきた。オバマ政府は「中国の脅威」をさけんで、みずからのアジア・太平洋地域への支配維持に各国を動員していくために、南中国海や「尖閣諸島」の領有権問題を利用した。
 オバマ政府のもとで米国防総省は年次報告書「中国の軍事力2009」で、中国は「接近阻止/領域拒否」の軍事戦略をとっていると「中国の脅威」をあおった。中国が南中国海や「尖閣諸島」など中国沿岸海域(第一列島線)への支配をつよめ、西太平洋などの外洋への進出をはかり、米海軍力の排除をたくらんでおり、東アジアから東南アジアにいたるシーレーンの「自由航行」がおびやかされているという内容であった。このアメリカの軍事分析は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などの経済面からの中国包囲網の形成もふくめた「アジア・太平洋重視」戦略の土台となっている。
 このもとでスカボロー礁での前アキノ政府の挑発や「尖閣諸島」の「国有化」(二〇一二年)など、意図的に領有権問題を激化させることがおこされた。オバマ政府は、「中国の脅威」、南中国海の「自由航行」をさけんでフィリピンやベトナムなどASEAN諸国へ哨戒艦、巡視船の供与をすすめるとともに、軍事演習の拡大、米艦寄港をくりかえした。
 米軍は中国が領有権を主張する南沙諸島イージス艦を接近させたり、核攻撃ができる戦略爆撃機B52をとばすこともやった。こうした軍事挑発に日本やオーストラリアも動員されている。安倍政府は、「尖閣諸島」などの「島嶼(とうしょ)奪還」と軍事演習を米軍と連携してくりかえすとともに、ベトナムとアメリカなどの「人道支援演習」に自衛隊を参加させ、海上自衛隊の“ヘリ空母”である輸送艦「くにさき」をベトナムに寄港させた。
 南中国海での領有権問題の解決は、アメリカなどの介入を排除し、当事者間の話し合いが決定的である。ドゥテルテが「アメリカとの決別」や「戦争にしない」ことを明確にしたことは、このカナメの問題である。対照的なのは安倍政府の対応である。
 歴史的に見て、日中国交回復いらいの経済関係の拡大は「尖閣諸島」問題を実質的に棚上げにするなかですすんできた。「尖閣諸島」問題が大きな政治問題になるのは、オバマ政府が「アジア・太平洋重視」の戦略をするなかで、その政治利用をはかったからである。
 日本や中国、フィリピンをはじめとする東南アジア諸国の人民はみな戦争に反対である。領有権問題をはじめ平和と繁栄のためには、民族の独立は大前提であり、それは人民斗争に発展にかかっている。